パピヨンの起源はスパニエル系やスピッツ系

ルイ14世やマリー・アントワネットの愛犬として知られているパピヨンの起源は、16世紀頃にすでに登場していたトイスパニエルだといわれています。パピヨンといえば大きな耳が特徴的ですが、当時は耳ではなく、尻尾が美しいという理由で人気となっていました。

愛犬として知られているパピヨンパピヨンには、耳が立っているタイプと耳が垂れているファーレンが存在しています。ファーレンはフランス語で、日本語に訳すと「蛾」という意味です。ただ、日本での蛾のイメージとは異なり、フランス語では美しい色合いの蛾を指しています。立ち耳タイプの繁殖が積極的に行われるようになったのは、18世紀頃のフランスでした。

その後、ベルギーでも立ち耳タイプの繁殖が行われるようになり、20世紀になってからは世界的に知られる犬種になっています。立ち耳にするためにスピッツと交配し、体格を小柄にするためにチワワと交配したことで初期よりも体格が小さく、現在のものに近い見た目になったというのが通説です。

ただ、20世紀頃のパピヨンは現在のものよりは大きく、毛色もレッド一色が多かったといわれています。現在のものは白地が基本となっており、そこにレッドやブラウン、ブラックなどが混ざっているのが一般的です。

明るくて好奇心旺盛で愛情深いパピヨン

犬の被毛はシングルコートと、被毛が二重に生えているダブルコートがあります。パピヨンの被毛はシングルコートで、細くて柔らかな手触りです。耳の飾り毛や美しい尻尾などはホコリがつきやすいので、毎日丁寧に被毛のブラッシングをする必要があります。

犬の寿命平均寿命は約14歳とされており、人間の年齢でいえば72歳ほどです。犬の平均寿命が約14~15歳であることを考えれば、パピヨンの寿命は長寿であるといえるでしょう。

また、性格的には個体差はあるものの、平均的に非常に好奇心旺盛で明るい犬種です。活発で遊ぶのが大好きなことから、可能であれば1日に室内遊びを何度かしたり、散歩も30分程度行ったりするのが望ましいといえます。

飼い主に対しても愛情深く、室内遊びの時間が少なすぎるとコミュニケーション不足からストレスを溜めてしまうので注意が必要です。その一方で、賢いのでしつけがしやすく、子犬の頃から適格なしつけをすれば無駄吠えなども防ぐことが期待できます。

しつけをきちんと行っていない場合、賢い性格ゆえに家庭で禁止したい行為も覚えて繰り返すようになるケースも珍しくありません。悪いことをしたときは叱り、良いことをしたときは褒めるなどオンオフをしっかりつけてしつけるのが重要です。

パピヨンの毛色は何種類?

パピヨンはその名の通り「蝶」を意味するフランス語から名付けられた犬種で、その美しい耳と豊富な毛色が特徴です。

フランス語から名付けられた犬種

 

この犬種には様々な毛色が存在し、飼い主や愛好家から高い人気を誇ります。犬の毛色は、基本的には白がベースで、その上に他の色がパッチやマーキングとして存在します。一般的な毛色の種類にはレモンカラーブラック&ホワイト、セーブル(淡い茶色から濃い茶色)&ホワイトなどがありますが、これら以外にも様々な色の組み合わせが認められています。

 

特に注目される毛色の一つが「トライカラー」です。トライカラーの犬は、白、黒、そして茶色の3色が混在する美しい毛色を持ちます。黒と茶色は通常、顔や耳、体の周りにパッチとして存在し、その配色のバランスがこの犬種の魅力の一つとなっています。

 

「パーティーカラー」とは、白を基調とした毛色に二色以上の色が含まれる犬を指します。パーティーカラーは、トライカラーを含む広い範囲の色の組み合わせを持ち、特にカラフルな外見が特徴です。この毛色の犬は、明るく華やかな印象を与え、見る人を魅了します。

 

「ミスカラー」という用語は、犬種の標準に準じない毛色を持つ犬を指す場合に用いられます。これは、犬種標準に記載されている色やパターンとは異なる特殊な配色を指し、ショーなどの競技会ではペナルティの対象になることがあります。

毛色によって性格は変わるの?

犬の毛色と性格が直接的に関連するという科学的根拠は現在のところ確立されていません。犬種による性格の違いは認識されていますが、同一犬種内での毛色の違いが性格に大きな影響を与えるという証拠は少ないです。

 

パピヨンを含む多くの犬種において、毛色は主に遺伝的要因によって決定され、これが直接的に犬の性格を形成するわけではありません。

毛色によって性格は変わるのか

 

性格は遺伝的要因の他にも育成環境さらにはその個体が経験するさまざまな生活条件によって形成されます。例えば人間とのポジティブな相互作用、他の犬や動物との適切な社会化、運動や遊びの機会が豊富な環境などが、犬の性格に好影響を与えることが知られています。

 

パピヨンは一般的に活発で好奇心旺盛、友好的な性格を持つ犬種として知られていますが、これは毛色によってではなく、犬種特有の性質と育成の仕方によるものです。

 

パピヨンの個体によって性格の差異が見られるのは、毛色よりもむしろ遺伝的多様性や個々の生活経験の違いに起因すると考えられます。毛色はパピヨンの外見的特徴を決定する要素の一つに過ぎず、愛情深く適切なケアと教育を受けた犬は、どのような毛色であっても素晴らしい性格を育むことができます。

名前のルーツはフランス語にあり!

パピヨンの特徴

パピヨンという犬の存在自体はとても有名です。しかし、可愛いと思っていても、その由来までは知らない飼い主も多いです。

英語が起源だと思われがちですが、パピヨンという単語のルーツはフランス語です。日本語に直訳すると昆虫の蝶を指します。そう言われても、犬は哺乳類であるにもかかわらず、昆虫の名前を付けられていることに疑問を持つ人もいるでしょう。

そのような人はパピヨンを前からじっくりと見てください。

全体的なシルエットが蝶に似ていることに気付くはずです。具体的には耳の部分が羽のように見えるのです。もちろん個体差があるので一概にいはいえませんが、極端に離れていると感じる人は多くありません。よほど偏屈な見方をしない限り、耳を羽に見立てることは何となくイメージできるはずです。あくまでも名前に関する説明であり、両者の間にそれ以上のつながりはありません。

あえて挙げるなら、どちらも可愛い生き物として認識されていることぐらいです。字面的にも愛らしいので、蝶という意味を知らなくても、名前自体が好きという人も見受けられます。破裂音が二つ続いていて、ポップな雰囲気が漂っていることも影響しているのでしょう。

悪魔島からの脱獄と関係がある?

悪魔島からの脱獄

犬のパピヨンが可愛いことは確かですし、字面や発音も微笑ましく感じられます。しかし、この名前が付いているものでも、可愛くないものが存在します。その代表といえるのが、脱獄班を描いた暗いテイストの映画です。主人公が送られた流刑地は悪魔島と呼ばれるところです。

絶対に脱獄は不可能といわれる堅牢な難所ですが、主人公はそこから何度も脱獄を試みます。当然のように失敗を繰り返すのですが、最終的に成功するというのが主なあらすじです。成功するまでにかかった年数は15年となっています。

なお、主人公の名前こそがパピヨンであり、彼は無実の罪で投獄されていました。このように重々しい映画ですが、名前がパピヨンなので楽しい内容だと勘違いする人もいるかもしれません。

特に注意が必要なのは、インターネットで検索するときです。他のワードと一緒に検索した場合、こちらがヒットする可能性もあります。だからといって大した問題はありませんが、画像検索をしていると場合、あまりのギャップに驚いてしまうかもしれません。パピヨンは犬専用の名称ではないことを理解しておきましょう。なお、この作品はかなりヒットしており、リメイク版も制作されています。